「〜のほうお持ちしました」「こちら〜になります」「よろしかったでしょうか」――俗に『ファミコン言葉』と言われている言葉です。
ファミレスやコンビニでよく使われる『間違い敬語』だから、ファミコン言葉。ですが、それ以外の場所でもよく耳にしますよ。
でも、じゃあ全部が全部間違いなのか、と言えば、そうでもなさそう。
例えば、「〜のほう」。
元々この言葉には物事をぼかして言ったり遠まわしにして言ったりする用法と、何らかの対比・比較する対象を念頭において、「○○より△△のほうが好き」や「勉強のほうが済んでから遊びなさい」と言う使い方があります。
なので、二品以上注文したお客様に対して、ウェイトレスが「○○のほうをお持ちしました」は適切な言葉なのです。
ただし、コーヒーだけを注文したお客様に「コーヒーのほうをお持ちしました」と言うのは間違い。「おつりのほうは230円です」と言うのも、「〜ほう」のもう一つの意味、ぼかして言う言い方にもなってしまうということで、正確さが要求される場面で適切な言い方とはいえなくなります。
一つは正しいのに、もう一つの使い方がおかしいから、全部が全部「間違えた敬語」として評価されてしまっている可能性がある、この『ファミコン語』。
実際、「〜になります」は、文法的には正しい文だし、「よろしかったでしょうか」は、『過去のことについての現在における評価』を表す表現として理解できるのです。
敬語だけでなく、どんな言葉もそうですが、『どんな場面でも使える丁寧な接客表現』というものはありません。
「この状況の時はコレ」「こういう場面の時はコッチ」と、その時々に相応しい場面で使いこなすのはかなり大変ですが、お店のイメージアップの為にも、挑戦する価値はありそうですね。
|